看護多機能型居宅介護とは

看多機は、医療ニーズの高い要介護者の在宅生活を支えるサービスです。
医療的ケアが必要な人やその家族が、病院から自宅に帰った後も安心して生活を送れるように2012年に新しく作られた介護保険サービスです。(一部医療保険も利用可能)
看多機は、「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスを組み合わせて利用できる介護サービスに、看護ケアを加えた形で始まりました。
利用者は住み慣れた自宅で生活を続けながら、体調の変化や生活状況に応じて柔軟にサービスを選択できます。
たとえば、平日は「通い」を中心に利用し、体調が悪化したときには「訪問」を増やすなど、状況に合わせた対応が可能です。
複数の看護師が24時間365日体制でケアを提供し、医療的ケアが必要な人も安心して在宅生活ができるのが看多機の特徴です。
医療的ケアとは、
- 点滴、インスリンや痛み止めの注射
- 傷口の手当て
- たんの吸引や鼻から入れる栄養チューブの管理
- 酸素や人工呼吸器の管理
などを指します。
介護保険制度の地域密着型サービスの一つとして位置づけられており、要介護1から要介護5の認定を受けた人が利用可能です。
看多機の利用により、在宅での療養生活の継続率が向上したという厚生労働省の報告もあります。
参考:厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について」数字で見る看多機3)事業者が経験した看多機サービスによる利用者の状態変化
看多機のサービス概要と特徴

出典:厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について」
看多機のサービス内容は、利用者の状態に応じて柔軟に組み立てられます。
医療依存度の高い方への対応が特徴で、たんの吸引や鼻から入れる栄養チューブの管理など、専門的な医療的ケア提供が可能です。
24時間体制で看護師が待機し、夜間の急な体調変化にも素早く対応できるため、利用者やご家族の不安を和らげる体制が整っています。
泊まりのサービスは、家族の急な用事や体調不良の際に便利です。
ただし、看多機は、在宅生活の継続支援を目的としているため、施設への長期入所とは異なる位置付けとなっています。
施設には常勤のケアマネジャーが配置され、利用者の方やご家族からの相談にひとつの窓口で対応します。
医療・介護・生活支援に関する様々な課題について、包括的な支援を受けられるのが特徴です。
緊急時には計画外の訪問看護や臨時の泊まりにも対応し、利用者の状態変化や介護者の急な体調不良などにも柔軟に対応できるのが心強いですね。
看多機は医療と介護の体制が整っている

看多機では、主治医と密接な情報共有をおこない、医療と介護の両面から支援します。利用者の体調変化や服薬状況、生活の様子などを定期的に主治医に報告し、適切な治療方針が決まります。
施設の看護師は、夜間や休日の緊急時制時も体調の変化に気づいた場合は主治医に連絡を取り、迅速な対応が可能です。
具体的には、
- 認知症の人
- 脳血管の病気で後遺症がある人
- 難病のため医療的ケアが必要な人
- 老衰やがんの末期で看取りが必要な人
などの在宅療養を支援しています。
在宅療養中の人へ質の高い在宅医療を届けるために、厚生労働省でも新しい方針が打ち出されています。
ICT(情報通信技術)を用いた、情報共有や医療やケアに関する指導などを評価する仕組みの推進です。
たとえば、訪問看護師がタブレットて撮影した自宅療養中の利用者の床ずれの状態を主治医に報告します。
画像を確認した主治医から、適切な薬や処置の指示を仰ことで、より効率的で質の高いケアも提供可能です。
今後、最新技術を活用した多職種連携が進むことで、さらなるサービスの向上が期待できるでしょう。
看多機ではさまざまな在宅生活サービスが利用できる

看多機は、利用者一人ひとりに合わせた包括的なサービスを提供する在宅介護の新しいかたちともいえます。
おもなサービス内容は、以下のとおりです。
■基本的な生活支援では、次のような細やかなケアを提供します。
- 入浴:通常のお風呂や寝たまま入れるお風呂など、身体状態に応じて柔軟に対応。介護スタッフが安全に配慮しながら、全身の清潔保持と心地よさを大切にしたケアを実施
- 食事:栄養士による個別メニューの提供。飲み込みや嚙む力に合わせた食形態の工夫、季節感のある食事で食べる喜びを支援
- 排せつ:自立支援を基本としながら、必要に応じておむつ交換や尿の管の交換などを実施。プライバシーと尊厳を守る配慮を徹底。
■リハビリテーションは、日常生活動作(ADL)の維持・向上を目指し、専門職と連携しながら進めます。
- お茶を注ぐ、洗濯物をたたむなど、生活リハビリの実施
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による専門的な機能訓練
- 利用者の意欲を引き出す個別プログラムの作成
■看取りケアでは、医師・看護師が24時間体制で以下のサポートを提供します。
- 痛みや不快などの症状の緩和
- 本人の希望に沿った終末期ケアの実践
- 家族への精神的支援と看取りの準備
■家族支援においては、介護負担の軽減を重視し、以下のようなサービスを展開
- 介護技術の指導と相談対応
- レスパイトケアとしての宿泊サービス
- 介護者同士の交流機会の提供
看多機は、医療と介護を統合したサービスにより、住み慣れた地域での生活継続を支えているのです。
看多機の利用開始までの流れと料金

料金体系は定額制で、月々の費用が事前に把握できます。要介護度に応じた基本料金に加え、食費や宿泊費などが別途必要となりますが、利用回数による追加料金は発生しません。
利用開始までの流れ
看多機のサービス利用までの手順は、次のとおりです。
【手順①】要介護認定を受ける(要支援の人はサービスを受けられません)
【手順②】担当のケアマネジャーに相談する
【手順③】利用を希望する事業所を見学する
【手順④】サービス内容や料金について説明を受けた後、契約を結ぶ
【手順⑤】ケアプラン作成後サービスが開始される
看多機の基本料金(要介護度別)
利用料金は要介護度によって異なり、月額定額制です。(泊まりの場合は追加料金となります)
要介護度 | 月額基本料金(自己負担1割の場合) |
要介護1 | 約12,500円 |
要介護2 | 約18,000円 |
要介護3 | 約24,500円 |
要介護4 | 約28,000円 |
要介護5 | 約32,000円 |
参考:厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護」
さらに、
- 食費
- 宿泊費
- 光熱費
- 理美容費
- おむつ代
などの日常生活費は事業所ごとに決められており、介護保険適応外の料金設定です。
看多機事業所によっては、介護保険適応の各種サービス加算が追加されます。
看多機の月額費用具体例
具体的な月額費用の例を見ていきましょう。
- 要介護3の人
- 週3回の通いサービスを利用
- 月に3回泊まりを利用
上記のケースでは、おおよそ次のような月額費用となります。(事業所ごとに異なるサービス加算は含めず)
項目 | 費用 |
基本料金 | 24,500円 |
食費 | 15,000円 |
宿泊費 | 9,000円 |
合計 | 48,500円 |
詳しい月額費用に関しては、各事業所のケアマネジャーへお問い合わせください。
看多機の留意点とオススメする人
利用を検討される際に、事前に考慮する点は以下のとおりです。
- 定員制のため、ご希望の日時にサービスを利用できない場合がある
- 他の介護サービスとの併用ができない
- ケアマネジャーが施設所属となる
以上を踏まえたうえで、看多機は、在宅介護を支える画期的なサービスとして注目を集めています。
とくにオススメするのは、次のような人です。
■医療的ケアが必要な方:看護師が常駐する看多機は、医療依存度の高い方の心強い味方となります。
■柔軟な介護サービスを求める方:「通い」「泊まり」「訪問」を必要に応じて組み合わせられるため、利用者と家族の生活リズムに合わせたケアプランを立てられます。
■限定したスタッフによる一貫したケアを希望する方:馴染みのスタッフと利用者や家族の信頼関係が深まりやすいのも特徴です。通いや訪問のスタッフが兼務の施設もあり、より質の高い個別ケアが期待できます。
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看多機以外の、在宅生活を支えるサービスはこちらもご参照ください。
コラム第26回「地域密着型通所介護とは?一般的な通所介護との違いも解説」