地域包括ケアシステム

下図は、厚生労働省が公開する地域包括ケアシステムのイメージ図です。この後の解説と照らし合わせながら読んで見てください。


地域包括ケアシステムの構築

引用:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」


中央に「住まい」とありますね。皆さんのお家です。吹き出しに「自宅・サービス付き高齢者住宅等」とありますが、ここでは「自宅」と思ってください。


右上に「介護」がありますね。小さな文字がたくさんあって、在宅系サービスには訪問介護、訪問看護……、施設・居宅系サービスには介護老人福祉施設・介護老人保健施設……とあります。「介護保険の大枠を知っておこう」で紹介した、介護保険適用サービスが並んでいるわけです。


そして中央の「住まい」と右上の「介護」の間に緑色・オレンジ色で矢印が引かれています。緑色の矢印には「通所・入所」とありますね。これは老人ホームや1日利用のデイサービスなどのように、コチラから通うサービスのことです。オレンジ色は向こうから来てくれる、つまりホームヘルプなどを表します。


ポイントは中央の「住まい」と、右上の「介護」が離れていることです。地域包括ケアシステムの考えでは、介護は外のサポートを利用しようね、という仕組みなのです(もちろん、ご家族もある程度の介護をしていただくことにはなりますが)。だから、1人で頑張らないことを前提にしているのです。


左上「医療」を見てみましょう。これはなじみ深いですね。病気になったら病院に行きます。緑色の矢印「通院・入院」がそれですね。


下には「生活支援・介護予防」があります。これは自治会やNPO法人などが主体となって行われるもので、例えば認知症の方が情報交換したり相談したりする認知症カフェなど、互いに支え合う仕組みが用意されています。


生活支援・介護予防サービスの充実と高齢者の社会参加

引用:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」


「医療」も「生活支援」も、中央の「住まい」とは離れたところにあります。これも、外のサポートを利用しようね、という作りです。



引用:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」


右側を見ていただくと、薄緑色の点線で囲まれた文章があります。「※ 地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定」とありますね。


そして左側には「地域包括支援センター・ケアマネジャー」がいます。地域包括支援センターとは、その地域の介護・医療・生活支援・介護予防をまとめている、地域のリーダーのような存在です。「何かあったときの相談先を覚えておこう」で困ったら地域包括支援センターに相談しようとご紹介したのは、このためでした。ケアマネジャーは皆さんの「住まい」と「介護・医療・生活支援・介護予防」を繋げる手伝いをするプロフェッショナルです。


つまり地域包括ケアシステムとは、皆さんの「住まい」の近くに「介護・医療・生活支援・介護予防」が1つにまとめて(包括して)、生活を支える仕組みなのです。


介護はチーム戦

私は良く、介護は個人戦ではなく「チーム戦」とお伝えしています。皆さんの周りにも、介護を助けてくれるチームメンバーが控えているんですよ。


<チームメンバー>

  1. 家族(子供・兄妹・姉妹・親戚・ご近所)
  2. 地域包括支援センター → 専門家
  3. 社会資源 → 行政サービス
  4. 市区町村が提供している独自の高齢者支援サービス
  5. 介護保険制度・介護休業給付金制度
  6. 職場 → 介護休暇制度・短時間勤務等の措置・介護休業制度
  7. 居宅介護支援事業所 → ケアマネジャー
  8. 介護事業所 → 介護スタッフ
  9. 訪問診療 → かかりつけ医

このチームメンバーをぜひ頼ってください。日本の介護は、それを前提としている仕組みです。


誰から頼るかといえば、まず地域包括支援センターにお話をしてみましょう。チームのリーダー的存在です。


なぜこんな仕組みになったの?

深くお話しすると歴史の授業のようになりますので、ほんの少しだけ。


昔は3世帯がいっしょに住んでいるのが普通で、家に人がたくさんいましたから介護も家族でできました。しかし、核家族化(ご夫婦のみ、ご夫婦と息子・娘のみ の暮らし方)が進んで、そうもいかなくなります。


そこで国は、公的機関などが運用する老人ホームを作りました。当時は老人病院などと言われた施設です。ところが、少子高齢化によって高齢者が増えると、どうにも国が主導するだけでは上手くいかなくなってきたのです。


国が主導すると全国一様なサポートになりますが、実際は、地域によって高齢化の度合いも違いますし、必要なサービスも変わります。それと単純に、国や自治体が用意する老人ホームだと数が足りなかったのもあります。


そこで「これからは地域密着のサポートをしよう。あと、老人ホームだけだと絶対足りないから、お家で生活を続けられるように訪問介護などのサポーターを作ろう」と、地域包括ケアシステムができました。


地域包括ケアシステムでは、外のサポーターの手を借りることを前提にしています。日本全国、この仕組みがとられています。ですから、1人で頑張らず、周りにぜひ頼ってください。まったく恥ずかしいことではありません。それが今の標準なのです。